生活習慣病治療・予防医療NMN点滴
NMNとは?
NMNとは、正式名称は「ニコチンアミドモノヌクレオチド」といいます。
人やあらゆる生物に存在し体内で自然に生成されている成分でありビタミンの一種です。年齢とともに減少することで、様々な体調面の変化を生じさせる原因となる物質と考えられています。
最近の研究ではサーチュイン遺伝子を活性化させること研究によりわかってきたことで、細胞の若々しさを保つための物質として、世界中で話題を呼んでいます。NMNは体の中では、細胞のエネルギー源として活用されています。ニコチンアミドモノヌクレオチド(NAD+)生合成の中間体として知られています。
食品では枝豆やブロッコリーに多く含まれていますが、100mgのNMNを経口摂取する場合、40kg(約2000房)ものブロッコリーを食べなければ摂取できません。
NMNとNAD+
NMNは体内に吸収されたのち全身の隅々に届けられ、NAD+に変化すると考えられています。NAD+はすべての生物に存在し、生命のエネルギーを担う様々な酵素の働きを助けたり、身体機能の保つ役割をしています。また、身体環境をサポートすることで若々しい健康を維持できることが分かってきています。
NAD+は、分子量が大きくそのままの形では、体の至る所に直接届けることが難しいと考えられていました。体内のNAD+は、10代後半頃をピークに加齢とともに減少し、40代でピーク時の半分になります。NAD+が不足することで若々しさが失われてしまうだけでなく、糖尿病などの疾病の原因になることが知られています。従来の研究で、NMNの投与によってNAD+が増加し、加齢による疾病を抑えられる可能性があると示唆されています。
そのほかにも、NAD+はエネルギー代謝、DNA損傷修復、遺伝子発現、ストレス応答を制御しています。アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、網膜変性疾患などの神経変性疾患では、NAD+代謝が関与していることが多くの研究で明らかにされています。
最近では、マウスモデルでの抗老化作用、寿命延長作用が発見されたことから、NMNは長寿の薬としてその価値を高めています。その薬理作用の多くはNAD+合成を促進することで行われますが、NAD+を直接高用量で投与すると不眠、疲労、不安などの副作用を示すことがあり、またNMNに比べて細胞膜への浸透性が悪いことから、NAD+合成を促進することで薬理作用を発揮します。
3、NAD+前駆体物質の比較
NAD+前駆体は、NMNの他にニコチン酸やニコチンアミドなどがありますが、それらはNMNとは異なり治療用途の点でいくつかの欠点があります。最近の前臨床研究はニコチンアミドは、肝毒性または紅潮を引き起こす可能性が示唆されています。
効果の期待できる疾患
- 老化(エイジングケア)
- 神経疾患
- 糖尿病
- 眼機能
- アルツハイマー病と脳内出血
- 肥満とその合併症
- 虚血再灌流障害
具体的な効果
- サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の活性化
- 若々しさがよみがえる
- 体力がよみがえる
- 頭がスッキリする
- 思考力・集中力が高まる
- 代謝が上がる
- 熟睡できる
- 運動中の呼吸が楽になる
- エストロゲンの上昇
- 肌のキメがアップ
- ミトコンドリアの活性化
※観察研究により効果を検証中
NMNと老化
老化は、複数の臓器におけるNAD+の減少により、ミトコンドリアによるエネルギー産生が低下する人間の自然現象です。
ミトコンドリア機能の低下とは別に、加齢はDNA損傷、認知障害、サーチュイン遺伝子の不活性化などの生物学的変化にも関連し、これらはNAD+によって修復することができます。NAD+レベルの低下は、加齢に伴うDNA損傷にも関連しています。
様々な代謝器官における特定の遺伝子の発現も加齢とともに低下し始めます。海外での評価の結果、骨格筋の300の遺伝子のうち76.3%、白色脂肪組織の360の遺伝子のうち73.1%、肝臓の513の遺伝子のうち41.7%がNMN処理によって発現が上昇していることを明らかにしました。これだけでなく、高齢化したマウスへのNMN投与の結果、免疫代謝系、特に白色脂肪組織の免疫細胞の発現増加、好中球の減少やリンパ球、サイトカイン活性、白血球活性の増加などの血液学的状態の改善が見られました。
体重の増加やエネルギー代謝や運動機能の低下、加齢によるインスリン不感症やトリグリセリド値の上昇などの脂肪に関連した合併症も加齢と関連しています、これらの条件は、12ヶ月のNMN介入によって逆転しました。
サーチュイン遺伝子の活性化
長寿遺伝子または長生き遺伝子、抗老化遺伝子とも呼ばれ、その活性化により生物の寿命が延びるとされています。サーチュイン遺伝子の活性化により合成されるタンパク質、サーチュイン(英語 Sirtuin)はヒストン脱アセチル化酵素であるため、ヒストンとDNAの結合に作用し、遺伝子的な調節を行うことで寿命を延ばすと考えられています。
SIRT1-activatorはアルツハイマー病等の神経変性疾患、動脈硬化、心不全、慢性閉鎖性肺疾患、炎症性腸疾患、2型糖尿病、肥満、筋肉減少症、廃用性萎縮症に効果が期待されています。ヒトを含む哺乳類では7種類が見つかっておりSIRT1〜7と命名されています。
NMNとミトコンドリアの活性化
ミトコンドリアは細胞の中にあり、消化吸収した栄養素をエネルギーに変えてくれます。そのミトコンドリア自身はエネルギーを産生する過程で活性酵素を発生させます。若い細胞中のミトコンドリアが排出する量は少なく、加齢した細胞中のミトコンドリアは多く排出します。活性酵素は体に害があるばかりでなく、ミトコンドリア自身もダメージを受けてしまい活性酵素排出量が増えてしまいます。ダメージが蓄積されたミトコンドリアはエネルギー生産量が落ちてしまい老化につながります。
NMNは、骨格筋、肝臓、心臓および眼を含むさまざまな代謝器官においてミトコンドリア機能を改善することが報告されています。NMN処理マウスは、骨格筋のミトコンドリア酸化性リン酸化を増加させ、全身のエネルギー消費を増加させることで体重減少に寄与している可能性が高いと報告があります。
NMNに関する論文
参照論文
1) NAD+中間体:NMNとNRの生物学と治療の可能性 2018
2) ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の補給は、高齢マウスの神経血管の若返りを促進します:SIRT1活性化の転写フットプリント、ミトコンドリア保護、抗炎症作用、および抗アポトーシス作用 2020
3) NAD+ Repletionは、生殖年齢の女性の生殖能力を救います 2020
4) ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)補充は、老化したマウスの大動脈における抗老化miRNA発現プロファイルを促進し、エビジェネティックな若返りと抗動脈硬化作用を予測します 2019
5) NADの6時間静脈内注入時のヒト血漿および尿NAD+メタボロームの変化を調査するパイロット研究 2019
6) 神経変性疾患の病態生理学および治療におけるNAD+代謝の影響 2019
7) ニコチンアミドモノヌクレオチド。ポテンシャル分子の多様な治療応用の探究 2019
8) ニコチンアミドモノヌクレオチドは、β-アミロイドオリゴマーによる認知機能障害と神経細胞死を防ぎます 2016
9) 実験医学 Vol.31 No.20 (増刊) 2013
10) 「ニコチンアミドモノグクレオチド」(NMN)の心血管代謝機能(NMN)に対する効果
ワシントン大学医学部 臨床研究中
N M N点滴の禁忌、副作用
血管痛 ※観察研究により継続して検証中
未承認医薬品等であることの明示、入手経路等の明示
本治療に用いる未承認医薬品等は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものです。 院内調剤(一部外部委託)として、適法に調剤しています。 日本では、未承認医薬品を、医師の責任において使用することができます。
国内の承認医薬品等の有無の明示
本治療に使用できる同一の性能を有する他の国内承認医薬品はありません。
諸外国における安全性等に係る情報の明示
主要な欧米各国で承認されている国はありませんが、ワシントン大学医学部を始めとして、臨床試験(二重盲検無作為化試験)が開始されています。
日本は、慶応大学医学部のグループが臨床試験を行い、ヒトに安全に投与可能であると結論付けています。
現時点では、重大な副作用の報告はありません。