りんくうメディカルクリニック RINKU MEDICAL CLINIC

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がん治療高分子抗がん剤(リポ化抗がん剤療法)

最新のリポソーム化技術を用いて、
副作用が少ないにも関わらず高い効果を期待できる抗がん剤治療

抗がん剤は、研究に研究を重ね確立された、癌細胞を倒す最強の治療法ですが、自分が受ける治療として考えると、嘔吐や倦怠感、貧血など悪いイメージを抱く人が多いと思います。これは、がん治療の根底にある考え方として、「がん細胞を殲滅しないと生きられない=殲滅作戦をとる方が長生きをする」という想像の存在があります。しかし諸外国では、がんのサイズの縮小と患者が長生きすることは相関しないといわれており、体内投与できる極量を短期集中的に投与することは良しとされなくなってきています。実際抗がん剤を通常通り全身投与すると、最初の数回は副作用が軽めであっても、治療を繰り返していくうちに副作用が出現し始め、抗がん剤の効果がなくなるか、副作用に体が耐えられなくなり、治療を終了せざるを得なくなる方が多くみられます。
当院での治療はそのような背景を踏まえ、外来抗がん剤療法として長く継続できる容量での治療を併用しております。しかし、容量が減っても正常細胞に作用すれば副作用は現れますし、がん細胞に取り込まれる確率も減少するので、効果も減弱するのが問題点です。
そこで我々は、故熊本大学名誉教授前田浩先生よりご教示いただいたEPR効果を利用して、患者様それぞれに最適な抗がん剤を、高分子化して用いる治療法(リポソーム化抗がん剤による高分子抗がん剤治療)を論文にしております。

リポソームとは脂質二重膜でできている、シャボン玉のようなイメージのものです。リポソームの中に薬剤などの物質を封入することで、物質のサイズが少し大きくなります(20-100nm)。そのため、血管壁も不完全で、隙間が大きい腫瘍血管を通過しやすく、かつ正常血管の隙間は通りにくくなり(EPR効果)、腫瘍だけに薬剤を集中させることができます。実際のリポソームのサイズや、抗がん剤がリポソームに的確に内包できているかなどを証明できるのかが、この治療の重要な鍵になります。

血流なしで生存しているがん細胞はないため、点滴投与で血中に入ったリポソーム化抗がん剤は、全身すべての腫瘍に集中することが期待できます。この治療では、局所療法ともいえる手術、放射線、陽子線、重粒子線治療や、しっかりとした栄養血管がないと難しいカテーテル治療(TACE)で治療対象にできないような、全身に転移した癌をターゲットにすることが可能です。また抗がん剤治療を、年齢や副作用などの理由で適応外となった方でも、可能な場合が多い治療です。  当院は種々の低容量の抗がん剤と最新のリポソーム化技術を用いて、副作用が少ないにも関わらず高い効果を期待できる高分子化抗がん剤を、確認検査したものを院内調剤しております。

参考文献など

(1)Clinical Use of Cisplatin Liposomes for Patients With Refractory Advanced Cancer Yasuo Komura, Hiromi Muranishi, Koichiro Homma*
(2)https://aacrjournals.org/cancerres/article/46/12_Part_1/6387/490212/A-New-Concept-for-Macromolecular-Therapeutics-in
(3)https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0927776515303155
(4)https://www.mdpi.com/2075-4426/11/6/487
(5)https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S174270612100194X
(6)https://www.mdpi.com/2075-4426/11/3/229
(7)高橋豊著 (決定版 がん休眠療法) 

保険診療上のリポソーム技術の抗がん剤の一例

ドキシル(ドキソルビシンのリポ化)

適応

  • 卵巣がん
  • エイズ関連カポジ肉腫

リスク・副作用

全身投与量のドキソルビシンと同量のため副作用は決して少なくはない。

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