りんくうメディカルクリニック RINKU MEDICAL CLINIC

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再生医療(幹細胞治療)

人が本来持っている治癒力を利用した治療

幹細胞とは

私たち人間は、最初1個の受精卵からはじまり、それが37兆個に増殖し、神経や血液、筋肉といった270種類もの細胞にわかれていきます。そしてこれらの細胞がそれぞれの働きを担ってくれていることで、生命が維持されていきます。この過程でいろいろな種類の細胞にわかれることのできる細胞のことを幹細胞といいます。

幹細胞の働き

私たちは体が傷ついたときに、自然とその傷を修復することができます。それに関係しているのが幹細胞です。幹細胞は、傷ついた組織を修復・再生させ、機能を回復させる能力を持ちます。 また幹細胞の分泌物には、サイトカインやエクソソームといわれる物質が豊富に含まれており、この分泌成分を利用して、組織修復やアンチエイジング治療などが幅広く行われています。 日常生活を送っていると病気にかかったり、けがをしたりしますが、そこで損傷した部分を癒し、回復させるために重要な細胞が幹細胞です。

幹細胞治療の報告事例

組織の修復(皮膚や筋肉、神経、内臓組織など)を通じて、痛みの回復や、糖尿病、神経疾患(ALSやパーキンソン)、自己免疫疾患、アンチエイジング効果など、数多くの効果が報告されています。

幹細胞のホーミング効果

体内で傷ついた組織はSOSサインのような信号を出して、幹細胞を呼び寄せることができます。このように幹細胞が損傷した部位に集まる仕組みをホーミング効果といいます。 この治療は、患者様の組織から幹細胞を取り出し、体外でそれを増殖させ、ご自身の体に戻す治療となります。体内に戻った幹細胞は、SOS信号を聞きつけて強力な応援部隊として損傷組織に集まり、回復させようと奮闘します。これがホーミング効果を利用した幹細胞治療の仕組みです。

幹細胞治療について

患者様の脂肪の中に存在する幹細胞を培養させ、その幹細胞を点滴で投与し、体内で生着させる治療です。培養上清と比較し、分泌される有効因子の長期的な効果が期待できます。ご本人様の細胞を用いるため、未知の感染症などへのリスクが低く、安全性の高い治療となります。
(第二種再生医療等提供計画番号:PB5220009、 適応疾患:慢性疼痛)
(第二種再生医療等提供計画番号:PB5220056、 適応疾患:生活習慣病に伴う動脈硬化症)

注意点

・脂肪を採取した時点で治療費(培養費)が発生するため、脂肪採取日までに治療費をお振込みいただきます。
・当院では投与用の幹細胞を凍結せず生の状態で保管しているため、点滴日の変更が直前の場合は、幹細胞を破棄することもございます。また、その場合は治療費(培養費)をお返しできませんのでご了承ください。

りんくうメディカルクリニックでの脂肪採取

新しい幹細胞のための脂肪採取方法

 培養方法の改善により採取に必要な脂肪の量が激減し、米粒大で幹細胞が培養できるようになりました。

 幹細胞は、集団で集まれば集まるほど増えやすい特徴があります。そのため、なるべく多くの脂肪を採取し、微量含まれる幹細胞の集団を形成できる方がより早く培養ができ、培養の成功率もほぼ100%となります。そのため、治療開始を急がれる方や、65歳以上で脂肪中の幹細胞の含有量が少ない方、B型肝炎キャリアなど感染症をお持ちの方は、当院が従来から行っているレーザーでの脂肪吸引をお勧めします。
 上記に当てはまらず、術後の傷跡が気になる方や、あとの痛みを残したくない方は、この採取方法での幹細胞培養が可能です。手術時間は局所麻酔を行ってから10-15分程度です。術後の抗生剤や鎮痛剤もほぼ必要なく、テープを貼って当日からシャワーも可能です。翌日の傷は以下のような程度です。

  • 臍周囲で行った例

     3例目のみ若干の皮下出血がみられたが、3日目には消失した。

     冒頭の説明の通り、幹細胞は集団になるほど育ちやすい傾向がありますので、通常4週間程度で培養できるところ、米粒大の採取の場合は培養期間が6-8週間程度になります。そのため脂肪採取から2か月以上後の治療開始を、予定していただくことになります。

    LIPOLIFE(ライポライフ)

    幹細胞採取のための、レーザー式脂肪採取機器です。脂肪採取機器先進国のイスラエルで製造され、米国FDAの認可がとれた最新機器を導入しています。 一般の美容クリニックでの脂肪吸引などよりも、愛護的手技で生存率の高い状態の幹細胞を採取できる機器です。また脂肪組織だけでなく周囲の皮膚や筋肉などを傷つける危険性を低減できます。術後の痛みも少なく、ダウンタイムもほとんどありません。

    りんくうメディカルクリニック院長の小村医師と、京都御池メディカルクリニック院長の村西医師は、この機器の国際的な研修施設での講習を受講し、認定を受けていますのでご安心ください。


    実際の脂肪吸引の様子

  • 細胞培養加工センター(CPC)

    基準を満たした培養機器を揃え、専属の培養士と医師で細胞を管理しています。クリニックに直結しているため、新鮮な状態で培養が開始でき、また細胞の生存率が高く、質の良い状態で点滴ができます※1。他の施設のCPCで培養して投与するのとは異なり、輸送時のストレスがなく消耗が少ないため、効果がより期待できます。 (施設登録番号FC5190068)


    ※1 幹細胞のエネルギー活動レベルを測定したグラフ
    検体①:解凍直後の凍結保管した細胞、検体②:凍結保管した細胞を再度培養した細胞。検体②の方が細胞のエネルギー活動が活発であることを示している。

    脂肪採取~投与までのイメージ

    <脂肪採取>

    きれいな空気が流れる専用の処置室にて採取を行います。
    LIPOLIFE で採取した脂肪は血液の混入が少なく、黄色く見えます。

    <培養>

    ①脂肪組織は同じフロアにある培養施設にすぐに移送されます。培養に使用する資材や検体は、入念に滅菌しながら、専用の道(パスボックス)を通って、培養室まで運ばれます。

    ②操作は安全キャビネットと呼ばれる最も空気のきれいな無菌エリアで行います。そこで、専属の培養士が異物混入の無いよう、慎重に培養の操作を行います。患者様に安心できるものを提供するため、培養士は専門の研修を受けています。

    ③培養中は患者様の細胞が他の患者様のものと取り違えが無いように、専用の検体識別システムで管理しています。また、複数名でダブルチェックも行っています。

    ④インキュベーターと呼ばれる専用機器内で細胞を増殖させます。温度や湿度などが一定に保たれるよう管理されています。

    ⑤継代(増えた幹細胞を新しい培養器に植えつぐこと)するときには、細胞の形、大きさなど幹細胞に異常が無いかをチェックしています。

    ⑥すぐに治療に使用しない幹細胞は、液体窒素の中で保管します。このタンクの中では-170℃より低い状態が保たれているため、細胞を安定して保管することができます。幹細胞を再度投与する際には、この凍結した細胞をもう一度培養し、元気な状態に戻します。

    ⑦患者様の幹細胞を培養した際には、品質や安全に問題ないかを必ず確かめています。下の図は培養した細胞が幹細胞であるかを証明する検査の結果です。
    (表面マーカーであるCD73、CD90、CD105がすべて陽性であることを確認しています)

    <投与>

    約1時間かけてゆっくりと幹細胞を投与します。
    投与中に少しでも気になる点がございましたら、すぐに看護師にお申し付けください。

    リスク・副作用

    リスクとしては、脂肪採取の際に患者様の腹部または太ももの切開に伴い出血、血腫、縫合不全、感染等が出ることがあります。また細胞投与については、拒絶反応の心配はありませんが、投与後に発熱、まれに頭痛、嘔吐、注入箇所の腫脹が出ることがあります。その他、2010年に他院で1例の肺塞栓症が報告されていますが、本治療との因果関係は不明で、それ以降は報告されておりません。

    国内の承認医薬品等の有無の明示、入手経路等の明示

    自己の脂肪組織を用いる治療のため、使用できる他の国内承認医薬品はありません。第二種再生医療等提供計画番号:PB5220009に基づき治療を実施します。

    諸外国における安全性等に係る情報の明示

    ・E Russell Vickers et al., A preliminary report on stem cell therapy for neuropathic pain in humans. Journal of Pain Research, 2014:7 255–263
    ・Ralph Bright et al., Migraine and tension-type headache treated with stromal vascular fraction: a case series. Journal of Medical Case Reports 2014, 8:237
    ・Sudabeh Alatab et al., Systemic Infusion of Autologous Adipose Tissue-Derived Mesenchymal Stem Cells in Peritoneal Dialysis Patients: Feasibility and Safety. Cell J, Vol 20, No 4, Jan-Mar (Winter) 2019

    幹細胞貯蓄という考え方について

    幹細胞治療は多くの効果が期待されています。しかし、他人の幹細胞を投与する事はできず、基本的にはご本人の幹細胞のみが投与できます。ではいざ大けがをしてしまった後に、この治療を受けようと思った場合はどうなるでしょうか?体調不良の状態であるにもかかわらず、麻酔を使用し脂肪吸引を行うという治療の流れは、少なからず、さらなるリスクを負う事が想像されます。また、未来には現在よりも年をとり、必然的に得られる幹細胞の数も減少してしまいます。
    幹細胞貯蓄とは、少しでも若い状態の幹細胞を採取しておき、将来に備えておこうという提案です。この治療は当院で採取し、当院で培養保存する細胞培養センターを備えているからこそできる考え方です。

    治療の流れ

    採取した脂肪の中から幹細胞を抽出し、一定の量まで培養して増やします。得られた幹細胞を複数の保存容器に小分けし、必要時まで凍結保存いたします。

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