がん治療高分子抗がん剤
独自技術により抗がん剤を高分子化して、がん腫瘍だけに集積させて集中的に破壊する、
副作用の少ないがん治療
治療内容
抗がん剤のなかでも、広く様々ながん種でもちいられて効果も高い「CCCD(シスプラチン)」を使用した療法です。シスプラチンを高分子ポリマーで加工することにより、EPR効果でがん細胞にのみ集積させ、がん細胞を破壊します。
全身に転移するがんもターゲットにでき、EPR効果により正常な細胞にはダメージを与えにくいため、通常の抗がん剤と比べて副作用が非常に少ない治療法です。
EPR効果とは?
抗がん剤のような低分子の薬剤や遺伝子などを、がん細胞に効率的に運ぶDDS(ドラッグデリバリーシステム)の一種です。
がん細胞は分裂や増殖を行うために、周囲の毛細血管から新たに「新生血管」を作りだし、酸素や栄養をそこから取り込みます。新生血管は血管壁が正常血管よりも荒く、100〜200nm(ナノメートル)程度の隙間が空いています。
抗がん剤やがん治療に使う遺伝子、そして光感作物質の大きさは、通常で1nm(ナノメートル)以下の低分子です。この大きさのまま体内に投与すると、正常血管からも漏れ出してしまい、がんになっていない正常な組織にも届いて細胞を破壊してしまいます。抗がん剤などで副作用が出るのはこのためです。
そこで、正常血管からは漏れ出さずに、新生血管からのみ漏れ出すように、薬剤等の大きさを100nm(ナノメートル)程度に加工します。大きくなった薬剤等は、正常血管からは飛び出さす、新生血管からのみ飛び出すため、がん細胞に集中的に蓄積されます。さらに、漏れ出した薬剤等はふたたび血管内に戻りにくく、がん細周辺に留まります。

EPR効果の特長
- 正常組織に薬剤等の影響が及びにくいため、副作用が少ない。
- 副作用が少ないため、EPR効果を用いた治療と放射線治療などの他のがん治療が同時に行える
EPR効果は2016年にノーベル賞候補にもなった前田浩氏の研究による技術です。
シスプラチンは白金原子を持っていることから、「プラチナ製剤」に分類させる抗がん剤です。 白金の作用は、DNAなどの生体成分と結合し、細胞の増殖を防ぐことで抗がん効果を発揮します。代表的な抗がん剤であり、標準治療の化学療法でも使用されていますが、このままだと副作用も大きいといったデメリットがあります。
りんくうメディカルクリニックでは、このシスプラチンをSMA(スマ)という高分子ポリマーで100nm(ナノメートル)程度の大きさに加工して、「SMA-CDDP(スマシスプラチン)」の調剤を行います。
このSMA-CDDPを点滴投与することで、全身にあるがん細胞に抗がん剤を運び、がん細胞のみ集中的に殺傷します。
3つのステップで抗がん剤が効率よくがん細胞に到達
STEP-1
高分子ポリマーに結合した抗がん剤(シスプラチン)が、EPR効果により、がん細胞が作り出した新生血管の隙間からのみ漏れ出します。

STEP-2
がん細胞周辺は酸性であるため、高分子ポリマーと抗がん剤(シスプラチン)が分離します。

STEP-3
がん細胞周辺の抗がん剤(シスプラチン)を、がん細胞膜にあるトランスポーター(タンパク質)が、がん細胞内部に取り込み、効果を発揮します。

適応するがんの種類
ほぼ全てのがん
こんな方が受けられています
- 副作用が少ないがん治療をご希望の患者さま
- 末期がんの患者さま、難治性がんの患者さま
リスク・副作用
- 点滴の際に、まれに皮下血腫・神経損傷などの合併症が起きることがあります。
- 全てのがんの根治に繋がるものではありません。
- シスプラチンによる副作用が全くおきないわけではありません。
治療の流れ
STEP-1 カウンセリング 医師・カウンセラーが状態を診断し、治療の内容について詳しくご説明いたします。
STEP-2 高分子抗がん剤投与 治療前の検査で問題なければ、点滴投与を複数回行います。
STEP-3 治療効果の評価 1セット治療の終了後に、治療効果を評価します。