がん治療高濃度ビタミンC療法
多量のビタミンCを体内投与し、血液中に過酸化水素を発生させてがん細胞を攻撃。
同時に免疫機能の向上などを図り、がんの予防や再発防止を目指す治療
治療内容
血液中に投与されたビタミンCは強力な抗酸化作用を発揮すると同時に、大量の過酸化水素も発生させます。過酸化水素に暴露された正常な細胞はカタラーゼという酵素によって中和されダメージを受けませんが、がん細胞の多くはカタラーゼを持たないため消滅します。
通常の抗がん剤とは異なり、余分なビタミンCは速やかに尿中排泄されるため、過剰摂取による重大な副作用の心配は少なく、化学療法や放射線治療の併用療法としても選択していただけます。
また、多量のビタミンCはがん細胞の発生を抑える「予防薬」としても働きます。強力な抗酸化作用によって細胞ががん化することを防ぎ、白血球やマクロファージの機能を高めて免疫機能を強化。さらに抗がん作用のあるインターフェロンの生成を促進し、胃がんの原因とされるニトロソアミンの生成を抑制します。
このような効果は血液中のビタミンC濃度が300mg/dl以上にすることで発揮されるため、食事やサプリメントなどの経口投与では難しく、静脈投与することで期待ができるようになります。
高濃度ビタミンC治療の歴史
ノーベル賞を2度受賞した米国のライナス・ポーリング博士は、1970年代前半に「ビタミンCを静脈内に投与することでがん患者の生存率が延長する」ことを学会に発表しました。その後、効果に懐疑的な実験がなされましたが、2005年にアメリカの公的機関である国立衛生研究所(NIH)、国立がん研究所、国立食品医薬品局の科学者たちが「高濃度ビタミンCはがん細胞を殺す」という共同論文を「PNAS(アメリカ科学アカデミー紀要)」に発表し、2006年にはカナダの研究グループによって、高用量ビタミンCを点滴投与した3人の患者が予想よりも長く生存していたことが確認されました。
その後は急速に高濃度ビタミンC点滴の研究と治療が広まり、現在では米国をはじめカナダ、デンマーク、日本などの大学病院で、がん患者を対象にした臨床試験が行われています。
期待できる効果
- 抗がん作用
過酸化水素によるがん細胞への攻撃 - がん予防作用
がんの原因となる活性酸素の無毒化、ニトロソアミンの生成抑制、インターフェロンの生産促進 - 免疫力の向上
インターフェロンの生産促進、細菌やウイルスによる感染症の予防 - 抗酸化作用
活性酸素の無毒化、皮脂分泌の抑制による脂漏性皮膚炎の予防・改善 - 美肌作用
コラーゲンの生成促進、メラニンの生成抑制 - その他の改善効果
ストレス、慢性疲労、生活習慣病、糖尿病 など
適応するがんの種類
胃がん・大腸がん・直腸がん・肝臓がん・膵臓がん・腎臓がん・肺がん・脳腫瘍・前立腺がん・乳がん・子宮がん・卵巣がん・膀胱がん・白血病・多発性骨髄腫・悪性リンパ腫 など
あるいは全てのがん
リスク・副作用
- 早期発見、早期治療による救命効果を目的とした治療です。
- 点滴の際に、まれに皮下血腫・神経損傷などの合併症が起きることがあります。
- まれに腎結石や尿路結石を発症する場合があります。
- 点滴終了後の数時間は、見かけ上の高血糖を起こす可能性があります。
※インシュリン治療中の糖尿病患者さまは、事前にご相談ください。
除外基準
以下の患者については、治療対象から除外されます。
- 1) G6PD欠損症(G6PD酵素が遺伝的に欠損している)患者
※当クリニックでは治療前に必ずG6PD検査を行います。 ※G6PD検査(血液検査)11,000円(税込) - 2) 重篤な腎障害、慢性人工透析を受けている患者
- 3) 重症の心機能障害、心不全を有する患者
- 4) 重症の糖尿病の患者
- 5) 大量の腹水や強い浮腫のある患者
- 6) 甲状腺の疾患を有する患者
- 7) 低栄養状態、あるいは脱水症の症状のある患者
- 8) 子供、妊娠中の女性、妊娠が疑われる女性、あるいは授乳中の女性患者(避妊指導を行う)
- 9) その他、本治療により不利益を受けると予測される患者、および本人ならびに家族(あるいは親族)の文書による同意が得られない患者など
未承認医薬品等であることの明示、入手経路等の明示
本治療に用いるビタミンC製剤は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものです。「医師等の個人輸入」により適法な輸入許可を得ています。日本では、未承認医療機器を、医師の責任において使用することができます。
国内の承認医薬品等の有無の明示
本治療に使用できる同一の性能を有する他の国内承認医療機器はありません。
諸外国における安全性等に係る情報の明示
本治療に使用するビタミンC注射製剤Ascor®はFDAによって認証されたものです。
(認証年月日:2017年10月2日)
治療の流れ
STEP-1 カウンセリング医師が状態を診断し、治療の内容について詳しくご説明いたします
STEP-2 G6PD検査血液を採取しG6PD検査を行います。結果は数分で分かります。
STEP-3 高濃度ビタミンC点滴定期的に高濃度ビタミンCの点滴を行います。少量からスタートし、必要量まで次第に増量します。
STEP-4 治療効果の評価1セット治療の終了後に、治療効果を評価します。