CTCを除去したい
固形癌の患者さんの血液中にはCTC(循環腫瘍細胞)が検出されてきます。このCTCの性質を調べることで、検出されたものが癌の幹細胞(抗がん剤が効かず、転移増殖能力の高い)かどうか、どういう抗がん剤だったら効果があるのかなどが、調べられます。そこで効果があるという抗がん剤を使って治療すると、本体の腫瘍は縮小したとしても、CTCがなくなることはほぼありません。
では、薬剤以外に除去できないのかという話が本日のテーマです。今回論文にすることができましたが、特殊なβ2ミクログロブリン除去カラムというものに、患者さんの血液を通過させることにより、CTCが除去できます。全身の血液はおよそ4リットルくらいありますので、それ以上の血液をフィルターにかけます。数が多量だったり、クラスターと言われる集簇を作っているCTCは、かなりの確率で除去できることが分かってきました。おそらくは活性化されているCTCほど吸着されやすいのだと考えていますが、さらに研究を継続中です。クラスターの存在が最も悪く、再発率が高いとする報告もありますので、クラスターは少なくともゼロにしていければ、有効と考えています。治療を受ける方で画像上の腫瘍が残存している場合は、いったんはCTCを除去できても1か月後には再増殖してくることが多いので、腫瘍本体に対しての治療と並行で行う必要があると考えています。β2ミクログロブリンも癌を悪化させますし、さらにCTCを減らすことで患者さんの予後に貢献していけるのではと願っています。
↓論文です
https://www.mdpi.com/2075-4426/14/6/640
No.57