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がん治療と腸内細菌

 腸内細菌がマイブームでして、連載します。 同じものを同じだけ食べても、太る人と痩せている人がいます。同じような事ですが、薬も人によって良く効いたりあまり効かなかったりと個人差があります。この個人差という理由の一つが腸内細菌叢の違いだということが最近わかってきました。

抗がん剤で例を挙げますと、ノーベル賞を受賞したオプジーボという薬がありますが、これはがん細胞が免疫系の攻撃を逃れる仕組みを持っているので、その仕組みを壊して自分の免疫に癌をやっつけさせるという薬です。この薬の効果の良しあしが、その患者さんの腸内細菌によって差があるということが言われてきています。まだまだこの分野は研究中ではありますが、この菌がいると効いて、この菌がいないと効かないなど、善玉悪玉などをクリアカットにどの菌の責任というような問題では表現できないということは分かっています。おそらくは細菌叢の多様性(いろいろな種類の菌がバランスよく存在していること)が大事で、多様性がある人には薬も良く効くという結論になりそうですが、この多様性を保つというのはなかなか難しい問題です。

がん治療の方は抗がん剤のみならず、抗生剤や胃薬その他たくさんの薬を飲まれていることが多く、必然的にその薬に対して弱い菌は減少し、生命力の強い菌は比率が多くなっていきます。そのような状態のところに、先ほどのオプジーボが投与されたとすると、腸内細菌がよりダメージをうけていない、偏りのない細菌叢を持っているひとには効き目が出やすいという事になると思われます。しかし長期の治療中の方はどうしても薬剤投与も多く長くなり、偏りが出てきてしまうのは否めません。できるだけ多様性を保つには、食物繊維などを積極的に摂るなどの食事療法も大事ですが、それでも失われる多様性のために、腸内細菌サプリメントをお勧めしております。通常腸内細菌移植は乳児の腸内細菌の組成を目指すことで多様性も保ててくるものですが、がんの場合はNK細胞というがんを殺してくれる殺し屋免疫細胞を活性化しやすい腸内細菌を優位に増やしてあげられるのがベターと思います。腸内細菌移植により薬、放射線の効果だけでなく、手術前後の体力免疫力の回復などなどに貢献すると思われますので、保険でのがん治療での補足という意味合いでも、ご活用いただければと思います。

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