りんくうメディカルクリニック RINKU MEDICAL CLINIC

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高分子抗がん剤  がん細胞だけに入るくすり  第一話 EPR

 EPR効果とは、固形ガン周囲では高分子製剤の血管透過性が亢進しており、リンパ組織の発達が悪いため長く薬剤が蓄積するという作用のことです。

 がん細胞は正常の細胞よりも短期間で増殖します。そのため突貫工事でざっくり作られており、細胞構造も、それに栄養を運搬する道路にあたる血管も、ざっくりできています。血管の壁には、栄養や薬を通過させるための細かい穴があいているものですが、このざっくり工事のため、正常血管がバスケットボールの直径の穴を持っているとすると、がんの血管は直径12mの比率の穴があいているといわれております。そこで薬剤を乗り物に乗せて集合させ大きくすること(高分子化)で、がん細胞だけに薬をいれて正常細胞には行きにくくする(=効果を最大にして副作用を最小にする)ような薬の運搬方法を検討しています。 車くらいの比率の薬を作れば、バスケット穴に通らず、12mの穴(プールの半分)には通るだろうという技術で、これまでも当院ではリポソーム製剤(アルファードサイズ)を活用してきました。

 しかし、薬が細胞に届くには、血管の壁の穴だけではなく、その先の間質というスペースを潜り抜け、がん細胞に到達する必要があります。そして、がんの種類によっては、この間質が非常に狭くできているもの(すい臓がんなど)があり、アルファードサイズでは、薬の効果が十分でない症例が散見されていました。そこで最近では、アルファードよりも、子供用自転車サイズのリポソーム製剤を用いることでちょうどいいEPRを狙った製剤を用いるようにしています。リポソームとは脂質でできたシャボン玉みたいなものですが、その中に封入したり、膜そのものに薬をくっつけることで、EPR効果を狙っています。

No.52

 この新サイズリポソームを用いて、癌だけに集中する高分子抗がん剤治療を次回のコラムで紹介します。

参考数値                 ↑の文中の例えです

正常細胞の血管間隙 4nm           バスケットボール

がん細胞の血管間隙 200nm       12m=プールの約半分

従来のリポソーム 80-100nm        アルファードの全長

サイズリポソーム 25nm        子供用自転車の全長

 

    

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