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高分子抗がん剤(第二話)  シスプラチンリポソーム

 シスプラチンは古くから抗がん剤として認可されており、世界中で広く使用されています。しかしその副作用は多彩で、手足のしびれや骨髄抑制、腎機能低下などが報告されており、投与方法や予防措置にもさまざまな工夫が必要でした。また抗がん剤治療後半になると、慢性貧血などの状態で通常量が使用できなくなり、外来でごく少量の抗がん剤投与なども行われていますが、減量して有効に効果が出るのは期待しにくい状態でした。

 しかしこれをリポソームという脂質の膜に合体することで、EPR効果(NO52参照)で癌だけに集まりやすくすることができ、少量でかつ最大効果最小副作用が期待できます。また合体しきれなかったリポソーム外のシスプラチンは正常細胞に副作用を出す可能性はありますので、解毒も考慮したいところです。シスプラチンはそのまま小児がんに用いた場合に、聴覚障害が報告されていますが、チオ硫酸ナトリウムを用いて小児の聴覚を保護できることが報告もされていますので、リポソームから漏れ出したシスプラチンの副作用低減に利用しています。

  当院でCTC(循環腫瘍細胞)の検査をすでに70名以上、あらゆる病期のかたに行っておりますが、全身抗がん剤をくりかえし、すでに使える抗がん剤がないと言われた方も、シスプラチンは良く効くという結果が得られます。ですので副作用の問題さえクリアできれば、より長く平衡状態に持ち込むことができる有望な抗がん剤ではないかと考えています。また他の候補としてはドセタキセルやジェムシタビンなどもリポソーム化が確認できておりますので、患者様の病態にあわせた治療を提案していければと思っております。

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