抗がん剤リポソーム
抗がん剤をリポソーム化して最大効果と最小副作用を得ようという話を以前のコラムでご紹介しました。 それがこの度、やっと論文になりまして、公開されております。(難治性進行癌患者に対するシスプラチンリポソームの臨床使用。Cureus 16(11): e73181. doi:10.7759/cureus.73181 )
https://assets.cureus.com/uploads/case_report/pdf/304903/20241107-1454795-xqqgfv.pdf
詳細は重複しますので簡単にいいますと、抗がん剤を使用しても副作用が出にくいことと、がんの末期で治療法の選択肢が大幅制限された患者さんでも効果が出た症例を、論文中で紹介しております。がん治療は、誰にでも効く完璧な薬などは存在しませんので、選択した薬剤がその患者に適格であり、かつリポソームがそれをさらに高めたという事とご理解いただければと思います。ともあれ、この論文を執筆始めた時期より1年以上経過しての掲載ですので、現在では10種類を超える抗がん剤をリポソーム化できており、複合的に用いて、増殖抑制、転移抑制、腫瘍の縮小消失、を目指して研究中です。また副作用が全くないわけではありませんし、論文1つ目の、まさに第一歩を踏み出したところであり、広くエビデンスがある治療ではないことをご理解いただければと思います。
No.59