糖尿病薬(メトホルミン)とがん
糖尿病の方は正常な人に比べ、20〜30パーセントほどがんの発生率が高くなることが報告されています。また糖尿病の人はインスリンの働きが低下しているため高インスリン血症になっている場合が多く、インスリン自体がん細胞の増殖、血管新生、転移を促進するインスリン様成長因子-1(IGF- 1)の活性を高める機序なども判明しています。また肥満による内臓脂肪増加で、アディポネクチンというインスリンの働きを助ける蛋白の減少もみられ、インスリン抵抗性がたかまり、さらにインスリンが高値になるという悪循環も作用して、発がん率が高まると考えられます。
糖尿病と関連したがんへの治療効果として機序の一部
- アディポネクチンはインスリンの低下に寄与し抗がん作用を示す以外にも、がん細胞の増殖を抑えるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化
- メトホルミン(血糖降下剤)はインスリン抵抗性の改善だけでなく、AMPK活性化することでがんの増殖抑制、HER2(がん遺伝子)の抑制、アロマターゼ(乳がんなどとも関与)阻害など様々な経路に関係してがん抑制の報告
アディポネクチンはダイエットや有酸素運動で内臓脂肪を減らすと増えてきますが、基本的に体内の脂肪細胞で作られるもので、このためがんの栄養療法として低糖質ダイエットが勧められる理由でもあります。また現時点ではアディポネクチンの体外投与は困難です。またメトホルミンは糖尿病治療薬ですが、内服している糖尿病患者のほうが、正常人よりも長生きできる可能性として報告もありますので、がんだけではなくアンチエイジングとしても期待できる薬剤ともいえます。糖尿病にならないようにダイエットなど心がけるのも大事ですが、糖尿病とがんは関係が深いので、検診の結果などにご注意してもらえればと思います。 2月3日 制作↓
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