アルコールと癌
適量のアルコール飲酒は、全く飲まない人や無茶苦茶飲む人に比べて生存率が高いというJカーブという現象が確認されています。このことは循環器疾患(特に冠動脈疾患)において、主に欧米人に確認されている現象でありますが、これを根拠というかお守りとして私は飲酒をしてまいりました。
しかし、発がんと飲酒という観点では、特に日本人は違う報告がたくさんあります。アルコールはアセトアルデヒドという毒性物質(発がん性の強い)を経て酢酸に分解されていきます。当然アセトアルデヒドを分解する酵素が弱い人が飲酒を続けると、アセトアルデヒドにさらされる時間が長くなりますので、発がん率も上昇することが想像されます。欧米人ではこのアセトアルデヒドを分解する酵素(ALDH2)がほぼ全員野生型(正常代謝)ですが、日本人は50%が正常で45%がヘテロ型(半分正常)、5%がホモ型(全部異常)といわれています。
このヘテロ型はアセトアルデヒドの分解能力が野生型の16分の1といわれているので、アセトアルデヒドの停滞時間はかなり長いといえます。多量飲酒で舌癌や食道がん、胃がんの発がん性は指摘されていますが、ヘテロ型の方ではさらに発がん率が高いと思われるので注意が必要です。また遺伝傾向は両親から2分の1ずつもらいますので、日本人は45%がヘテロですので、両親の一人はヘテロかもしれませんし、片方の親がヘテロなら子供も半分はヘテロの確率があります。
そう考えると周囲の少しだけ飲める人や、鍛えてたくさん飲めるようになった人などは、もしかするとヘテロかもしれません。かくいう私の母親はよく考えたら下戸でして、父親が飲めるので私も飲めると思っていましたが、実は私もヘテロの確率が結構高いかもと思って、今更びびっています。
何かと理屈をつけてお酒を飲む正当性を検討してきた一人ではありますが、歳とともに飲酒量は減らしていこうと考えていますので、皆様もお酒を減らす理屈の一つとしてご参考にしていただければとおもいます。
アセトアルデヒドもテトロドトキシンも毒です↓
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