抗がん剤耐性の癌に対する治療
がん治療には抗がん剤を用いますが、繰り返しの治療のうちにだんだん耐性ができて、効かなくなることが経験されます。当院では今までそのような状態に遺伝子治療を追加して、効果を出そうとしてきました。遺伝子治療ももちろん効果が見られていたのですが、これだけではいかんともしがたい症例も多々見られました。最近Hippoシグナル伝達経路という細胞内の経路がみつかり、その中でYAPという部分を抑制することで、薬剤耐性を改善しうることが報告されました。経路の話は複雑ですのでおいといて、ベルテポルフィン、ある種のスタチン(コレステロールを下げる薬)などが、抗がん剤への耐性を獲得するのを阻止するともあります。ベルテポルフィンはもともと加齢黄斑変性症の光治療などの薬剤であり、スタチンは動脈硬化予防に長期に使用されている薬剤で、どちらも安全性は高いと考えられます。当院では先のコラムで書きましたように、シスプラチンなどの抗がん剤リポソーム加療をしておりますが、さらに薬剤耐性をなくして、抗がん効果を強めたいと考えています。
当院ではベルテポルフィンをリポソーム化し、副作用として光過敏症などの発生を抑制して、癌にEPR効果で集まりやすくして用いております。抗がん剤が効かなくなったなど、お悩みの方は一度相談していただければと思います。
No.54
Cancers(Basel).2021Jan16;13(2):318.doi:10.3390/cancers13020318.
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